魂は…⑥

病院の桜吹雪の中、胸が張り裂けそうに悲しかった。叔母の最後は旦那さんの叔父と息子達だけが許された。病院に来られなかった叔母の姉に電話をする約束を思い出し、電話口で声を出したとたん、涙が止まらなかった。

叔母が旅立った事を告げ、窓の外に視線を移すと桜吹雪と一緒に叔母が舞っていた🌸

その形は光の球体というのか、桜色と戯れる光の様だった。

 私達は悲しみしかなかった。

私は帰宅してどうしたのか覚えていない。

夫が、叔母が病院から帰宅する為に部屋を片付ける手伝いに出掛けたこと、私も何か役に立ちたかったが、幼い娘2人の母であり、叔母が可愛がってくれたこの2人を育てる事が大事と思ったことは覚えている。

その子達を寝かしつけ、ひとりになると、涙が止まらなくなった。「どうして?どうして?」

もう会うことも出来ない、声を聞くことも話すことも、抱きしめることも出来ない…叔母が私の功労を喜んで抱きしめてくれた温もりが甦ってくる。

夫は手伝いが終わったろうか…夜は10時になろうとしていた。

ふと、マンションの4階だが、ベランダ越しのカーテンの隙間から誰かが見ている気配がして「怖いっ」と思うと同時に玄関のドアチャイムが鳴った。ヒャッと驚いた、夫だった。

叔母の家から帰宅したのだ。瞬時に、さっきの気配は「T(私の夫)を借りちゃって、遅くなってごめんね🙏」という叔母の合図だったと感じた。

なぜなら、私と夫は、叔母が引き合わせてくれたお陰で結婚した❤️👫❤️叔母は明るく笑う夫を好いていて、独身の私に会わせたいと考えていたのだった。亡くなる6年前のことだ。

私は叔母のお陰で救われたし、幸せだった💗

だから叔母が大切な夫を無事に帰宅させてくれたのだと思った。(つづく)


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青森の夕焼け🌇青森での結婚式に叔母も喜んできてくれた。