魂は…④

翌日の面会時間に合わせて、集中治療室の叔母に会えることになった。

大好きな、時折おちゃらけて場を和ます叔母が、どの様に横になっているのか想像もつかず、緊張して治療室に入った。看護師に案内されて叔母のベッドに近づいた。

戦っている❗病と戦っている❗

叔母を見た瞬間思った。

叔母は戦っていた。酸素吸入、心臓を動かす装置に繋がれて戦っていた。

瞼を開けることはなくとも、うなずくことも出来なくても、戦っているオーラとでも言おうか、そんな雰囲気を発していた。

私も私の母も、夫である叔父も「頑張って❗」

と声を掛けた。叔母の黒髪が反応したように感じた。

私達は「絶対に乗り越えられる❗」と確信した❗

それから毎日、面会しに行くことを姉である母は決めていた。私も同様に決めていた。

子供の調子が優れず行かれない日は、母の報告を聞くのが楽しみだった。「今日も頑張っていたよ」と。

3月も下旬の27日か28日だったろうか、月末で忙しかったが、面会は最優先だった。

この頃になると、事務スタッフには誤魔化せなくなった。仕方なく入院して治療中だと打ち明けた。「面会に行ってくる」と言って出掛けると「今度私達もお見舞いに行きたい」と言ってくれたが「本人が嫌がるので」と拒んだ。

集中治療室から普通病棟に移ったら一緒に面会に行きたいと思っていた。

母と面会に通された。叔母の顔を見てハッとした。瞬時に「魂が無い」❗察したくなかったが、踏ん張り頑張り疲れてしまったとでも言いたげな相だった。「疲れちゃった?諦めちゃダメだよ❗皆、回復するのを祈ってるんだから❗でも、疲れちゃったの?」と心の中から尋ねた。

呼吸、心臓、透析、点滴、尿管…全ての機器をつけてどの管がどこに繋がっているのか分からない…「皆、応援してる、祈ってるよ❗もう少し頑張って」と叔母の肩に触れた。が、自信が揺らいだ。

月末業務と子供の世話で忙しく、面会に行くことができなかった。代わりに、母から様子を聞くが、容態は思わしくなかった。

そのまま4月になった。(つづく)


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叔母の義兄が発明したオレンジ色のコスモス